1月号(vol.18)

2012 年謹んで新春のお慶びを申し上げると共に皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
さて昨年は私達日本人にとって忘れられない未曾有の東日本大震災があり、これに終始 した一年でした。 当然震災に関連した報道は数多くありましたが、昨年 12 月に放映された NHK スペシャル では特に身につまされました。内容は震災孤児を特集したものです。 それによると 2011.6.20 現在、両親共に失った 18 歳未満の子供は 200 人を超え、両親のど ちらかを失った子供に至ってはその数 1,300 人以上です。私にも 3 人の子供がいる為、胸 詰まる思いで番組を拝見し録画し後日子供達と共に家族全員で拝見し、子供達と話し合い もしました。 番組では、ある小学 6 年生男児にスポットをあてていました。彼は母・祖父母・1 才の弟 を亡くされ父親と二人きりになってしまいました。会社は津波で流され父は職を失ってし まい、生活の為、県外への転居を考えたそうです。その際 6 年生の彼に相談したところ、 彼はきっぱりこう言ったそうです。「僕はここに居たい。だって一世(弟の名前)が生まれ た所だから、離れたらかわいそうじゃないか。僕のふるさとだから」。 色々な事情(理由)で泣く泣く転居しなければならない人々がいます。それは何も悪い ことではありません。 そうではなく自分以外の人を愛するという尊い考えに私は目頭が熱くなりました。おそら
く彼は小さな胸で押し潰される様な恐怖と悲しみを抱え、そこから出した答えがこれだっ たのだと思いました。 それを裏づける様な出来事として、担任の先生に「がんばらなくていいんだよ」。と言わ れた時、彼は堰を切ったかの様にひどく泣きじゃくったそうです。 おそらく彼は今後、人生において現実から逃げず受容しさらに立ちむかう姿勢を身につけ 強く生きていくことでしょう。
話は変わりますが、先日こんな事がありました。 寒い中行列をつくり待っている集団があり、その中の一人に私もおりました。そこにあ
る初老の女性とその孫と思われる人が、わずかに空いた列に割り込んできて、「○○ちゃん、 あなたは小さいんだからちょっと入れてもらいなさい」。 その言葉に私は唖然としてしまいました。「ちょっと待てと…」。 みんな寒い中“順番”というルールの中で先に来た者が優先権を得られるのである。子供だからこそ辛抱や忍耐を覚えさせるべきである。子供だからこそルールを教えるべきであ
る。それを「子供」にかこつけて小さいから?かわいそうだから?全く逆であると私は思 います。例えば 100%沈没することが明らかなタイタニック号で、救命ボートに乗れる人が あと二人である時、子供・女性・成人男性なら子供と女性を助け成人男性が身を引くとい うことは種の保存を考えた時、優先順位からすれば致し方ないのかも知れません。 しかし行列の順番を待っている様な例では全く次元が違い、子供なら、なおの事、待つ事
を覚えさせた方が将来その子にとって有益であるに違いないと思います。その祖母らしき 方は、先程の耐えている小学 6 年生を見習うべきではないでしょうか。私はそう思います。
院長:刀川