9月号(vol.14)

<ぬり薬>
皮膚科を受診すると多くの場合ぬり薬が処方されます。しかしそのぬり薬、皆様はどれだ
けの面積にどれ位の量を塗っておられますか?特に広い範囲に塗る場合、何グラム程塗れ
ば良いのか分からないという事はないでしょうか?
そこで今月号ではその目安をお話しさせて頂きます。
大人の手の平(両手)をくっつけた面積に必要なぬり薬の量が約0.5gです。これが基本と
なりますので先ずこの事を覚えて下さい。では次に約0.5gとはいったいどの位かというと
次の様になります。
① チューブの場合:大人の人差し指の第一関節までを出して下さい。この長さが約0.5g
となります。
② カップの場合 :大人の人差し指に①位になるようにサッとすくって下さい。又は人指
し指に1円玉~10 円玉位になる様すくって下さい。
③ ローションの場合:手の平に1 円玉程度が約0.5gの目安です。
次にこれら約0.5gの量を指示された部位に塗るのですが、対象になる患者様が大人でも子
供でもハタマタ乳幼児でも全く同じことです。
例えば幼児の場合、上背部(肩甲骨の上下付近)で大人の手の平2 枚分、つまり約0.5g、
中背部で約0.5g以上同じ様に下背部と臀部でそれぞれ約0.5g必要になり背部から臀部ま
で合計2g必要となる計算です。無論同年代でも体格によって違いはありますが、『大人の
手の平2 枚分に必要な量が人指し指第一関節までの量』と覚えておけば全て応用が効くこ
とと思います。以上のことは「フィンガーチップ・ユニット」と言って本邦のみならず海
外でも通用する基準となっています。但し経験的な例外を申しますとA、水虫 B、髪の
生えている頭部にローションを塗る時 C、顔のニキビに塗る時 D,狭い範囲に外用す
る時などは例外と言えますので当クリニックでは初診時に必要に応じて適切な外用方法を
説明させて頂いておりますのでご安心下さい。
塗り薬は塗る範囲・塗る量・塗る回数によって十分効果を発揮したり、逆に効果が出なか
ったりするものです。従って十分な効果を発揮させるには、必要な個所に必要な量を必要
な回数塗る事に尽きます。しかしながら例えば、我が子のこととは言え、入浴後に親も体
ぬれているにも拘わらず、子供の水分を拭きとり、塗り薬をぬってパジャマを着せてなお
かつ自分の体を拭き、自分の着替えをし、最後に化粧水をやっと塗れる状態で、その頃は
顔もパリパリになってでも子供優先をつらぬき大変ご苦労されていることと存じます。し
かも毎日の事ですから並大抵のことでは無いでしょう。しかしこれらを根気強く行って頂
ければ私の願いである「皮膚を感じない生活」を実感して頂けると信じております。いつ
でも不安な点、疑問点があればお声をかけて下さい。患者様と共に悩み考え昨日よりも今
日、今日よりも明日の改善を全力で応援します。
院長:刀川