12月号(vol.5)

ついこの前まで暑い暑いと騒いでいたのに、秋は駆け足であっという間に過ぎ去り、も
う12月に突入してしまいました。当クリニックでも11月に入った頃から明らかに患者
様の皮膚が乾燥してきた事を実感しております。これから増々本格的な冬の到来により、
屋内では暖房が焚かれ湿度が下がり皮膚に加速的に乾燥してくることでしょう。そこで今
月の私のテーマは赤ちゃん(小児の)スキンケアにしました。では早速・・・。
皆様は「スキンケア」という言葉を耳にしたことがあるかと存じます。さて具体的に「ス
キンケア」とはどの様なことを指すかおわかりですか?
答えは(教科書的には)「清潔」と「保湿」です。
しかし私はあえて「適度な清潔」と「十分な保湿」と言わせて頂きたいと思います。では
先ずその理由から話していきましょう。例えば赤ちゃんの顔や体の湿疹(乳児乾燥性湿疹)
{冬を代表する2才児以下の湿疹です}には、かなり特徴的な症状があります。先ず赤ちゃん
の顔を見て下さい。先ず彼らの頬が「マシュマロの如く何とも触れてみたい素晴らしい皮
膚」とはいえない事に気づかされます。しかしどんなに頬に湿疹があっても鼻先・鼻唇溝
(鼻の横から口にかけての線)下くちびるとアゴの間の凹みには期待された正常な皮膚が
存在していることに気づかされます。さて、そこで尋ねたいのが、朝赤ちゃんの顔を洗っ
ていますか?(もし洗うという行為が我が子かわいさあまりに困難なら軟らかい水をたっ
ぷり含ませたタオルで拭いていますか?)答えはNOです。
皆様は赤ちゃんの皮膚が大人よりデリケートであるということは10人中10人が知って
いることです。
では、一体赤ちゃんの顔はいつ洗われているのかと言うと、答えは「入浴時に1日1回
洗う」です。ではお母さんは朝顔を洗わないのですか?いいえ当然洗います。しかも洗顔
後は直ちに①化粧水→②乳液→③美容液・・・云々・・・。
スキンケア思いっきりやっているじゃあ~~りませんか!!
特に①・②!!
分かっているのに我が子にはしない?(矛盾)赤ちゃんは、母乳(ミルク)、離乳食(たべ
こぼし)に始まり、よだれに至っては日中のみならず夜ねむっていても。それなのに、朝
の洗顔(拭く行為)はしていないのです。
(1990 年代半ばからこの傾向は年々増えているというData があります。)
是非今日から朝も赤ちゃんの顔を洗ってください。もしくは、十分水を含ませたタオルで
拭いて下さい
さて次に先程申し上げた乳児乾燥性湿疹の顔の症状を思い出してください。何故、額・
頬・アゴの真ん中に湿疹を認め、鼻唇溝と下唇とアゴの間には湿疹が無いのでしょうか?
(しかも、たべこぼしやよだれは鼻唇溝にさえ付着しているにもかかわらず)
それにはお母さんが縦ダッコをした時の事を思い出して欲しいのです。赤ちゃんがお母さ
んの胸に左右に首を振り、顔をゴシゴシと擦り付けている事がありませんか?その時に一
番よく擦られる場所こそがまさに湿疹好発部位なのです。赤ちゃんだって一日一回しか顔
を洗ってもらえなければ顔が痒くなるのは当然ではないでしょうか?
ここで賢明なお母さんは「待って!!」縦ダッコで擦られている場所なのに湿疹が出来
ない場所!あるわよ!!さあーー、それはどこでしょう。よーく思い出して下さい。答え
は鼻の頭です。乳児乾燥性湿疹にみられる顔の症状も、アトピー性皮膚炎にみられる顔の
症状も、いずれも顔にどんなひどい症状があっても、とりわけ鼻の頭には症状がなく正常
皮フに近い状態なのです。それは何故でしょう。そこにこそ、「スキンケア」の2 つ目の「保
湿」の答えがかくされているのです。
実は鼻の頭は皮脂が元々多く分泌する所であり、それがある事で十分に保湿されている
のです。夏に鼻の“テカリ”を抑えようとファンデーションを重ね塗りしませんか?
答えはそれです。だから、最も顔の中で突出しているにもかかわらず、十分な皮脂によっ
て保湿されているため、鼻には湿疹が起きないのです。(保湿の重要性が分かっていただけ
ましたか?)
それと、もう一つ冬場の湿疹が起きにくい場所がオムツの中です。「そうー!!」もうおわ
かりですねー!!適度に湿っているからです。
さぁー。これでいかに冬の乾燥を防ぐためには「スキンケア」が重要かおわかり頂けた
かと存じます。「スキンケア」には適度な清潔と十分な保湿です。この事は老若男女問わず
誰にでも言える事です。この冬は1に清潔2に保湿、3・4が無くて5にスキンケアです。
皆様がんばって下さい。
院長:刀川